ロサンゼルスの『最後の本屋さん』
ザ・ラストブックストアをご紹介!
一日中本を読んで過ごせる本好きには堪らない場所です。
この本屋さん、インスタ映えスポットもあるのでSNS経由で知ってる人もいるかも。
2階の廊下には、ローカルアートやハンドメイドグッズを集めたギャラリーがいくつか並びます。
こんな風に、LAで成功しているトレンドで乙な本屋という風情のThe Last Bookstoreですが、
この本屋さんをつくったひと、どんな人か知ってます?
The Last Bookstore のオーナー、Josh Spencer
Amazonなどオンラインのブックストアが台頭して、紙の本屋がどんどん潰れていく時代に、あえて紙の本屋を開いた、オーナーの Josh Spencer。
「中型の本屋がどんどん潰れていった時期だった。そんなタイミングだったから『最後の本屋さん』という名前をつけたんだ。」とインタビュー冒頭で話すJosh。実際、時代に逆行することをしているから3年ぐらいでどうせ潰れるだろう、と当初は思っていたそうです。
The Last Bookstoreを作ったきっかけ
インタビュー動画の内容から ↓
きっかけは、ジョシュの両親が離婚して母親についてロサンゼルスに移住してきた2002年頃。
彼女には振られるし、ケガはするし、仕事の面接行っても落ちるし、フードスタンプ(アメリカの低所得者向けの食料扶助システム)で生活してた、と。
「やべえ、俺、めっちゃ負け犬じゃん。」
と彼のもとに早めに訪れるミッドライフ・クライシス。このクライシスから抜けるためになんとかしなきゃ、とジョシュは思い、自分が思いっきり集中できること、本気で好きなことは何かと探しはじめたそう。そうして、子どもの頃から書くのも読むのも好きでずっと続けてきた彼は、
「よし、本だ。」
と決意。
古本でビジネスをしようと思い立ったジョシュ。当時はeBayが出はじめた頃。自分のちいさなスタジオアパートにこもって、eBayで古本売買することから始めた。そのうち出会った友達の友達に、「おまえ、本屋を出しなよ!」とゴリ押ししてくるやつがいた。ずっと、何年も。
その言葉がきっかけで「よし、本屋を開いてみるか。」と、自分の住んでるアパートの向かいの空き店舗を借りた。
そして本屋をオープン。開店のその日から忙しかった。
「趣味が仕事になって、仕事がやめられない熱中事になったって感じ。休みの日にもしたくなるようなことが仕事内容だから、労働してるって感覚はない。こういうのをベストな働き方っていうんじゃない?」と本を整理しながら語るジョシュ。
他の本屋で40年ほど働いていた従業員↑。働いていた本屋が大型のグループに統合され、企業に商業的な色が強くなると、傘下の支店はどんどん潰れていった。
「今はThe Last Bookstoreで働けてハッピーだよ。本に囲まれて忙しい。これ以上望むことなんてないよ。ジョシュはこんなデジタル時代に本屋をひらく肝っ玉がある。そして僕みたいな本が大好きな従業員が働ける場所を作った。最高だよ。」
“No fear” (怖くないね)
ジョシュが本屋を開く前は、どんなことをしていたのか?
彼は1996年に大きな交通事故に遭い、車イスの生活になる。
もともとサーフィンやバレーボール、ハイキングが好きで、アウトドア派だった彼にはさらにショックが大きかった。
事故後は、生活のすべてがチャレンジになる。
半身不随のこの体でこれからどうやって生きていくんだろう?
車椅子の自分に家族が持てるだろうか?
そうやって悩み、鬱病にも苦しむ。
そうやってもがきながら、自分自身のものの見方や受け止め方を少しずつ変えていくのに、10年以上かかったという。
「あの頃の苦労に比べれば、ビジネスの失敗なんてno big dealだよ (ぜんぜん大したことじゃない)」
「no fear (ぜんぜん怖くない)」
と、微笑みながらインタビューを〆るジョシュ。
以上!ロサンゼルスでおすすめの本屋さんの紹介、
というか本屋の店主の紹介でした。
人生経験が豊富で肝が据わり、地に足がついてるジョシュ。
そんな彼の肝の据わったおおらかさが、この本屋さんの居心地の良さにも繋がっているんだろうと感じます。
ロサンゼルスのリトルトーキョーからもそんなに遠くない。日本領事館からも近いよ。
本屋好きな人には是非寄ってみてほしい、お薦めの場所です。
ちなみに!
この本屋さんのウェブサイトを見てていいなーと思ったのは、このBook Bundle(本の束)のサービス。↓